ダンスフロアにあるソファで寝ていると、突然ドアが開けられ自分に話しかけてくる人がいた。
寝ぼけ眼でメガネを探して時計を見ると朝の4時半。
出張に行っていたお父さんが帰ってきたのだ。
起きがけにビールを渡され「よー来てくれた」と歓迎してくれた。
睡眠も全然とっていないのに、「これから十和田湖までドライブにいこう」と誘っていただいた。
ビールを喉に流し込み貴重品だけを持って出発した。
朝早い時間のため濃い霧が十和田湖周辺にかかっていた。
十和田湖の絶景を見れる展望台からは何も見えない。
畔まで到着すると幻想的に霧が山にかかり、透明度の高い湖が山の姿を映していた。
誰もいない畔をいつまでも歩いていたかった。
十和田湖を散策した後は奥入瀬渓流まで移動した。
渓流沿いにはいくつもの滝があって、川の岸辺に遊歩道が整備されていた。
美しいとされる新緑や紅葉の時期は特に観光客が多いようだ。
川の流れの変化を楽しみながら散策できる貴重なコースだと思う。
10時に家へと戻り、11時からお父さんはダンスの授業を始めた。
俺も初めて社交ダンスを見学させてもらった。
最初は慣らしといった感じに全ての種類のダンスを3分間ほど流し、踊っていく。
ラテン系の激しいものからスタンダードなダンスまで本当に幅が広い。
間近で見ていると目が釘付けになってしまい、踊っていない自分も楽しい気分になる。
本能的に人間は踊りが好きなんだな。
「君は素質があるから社交ダンスを始めないか?」と誘われたがすぐに返事が出来るもでのはなかった。
スポーツ経験とバンド活動をしていたリズム感が素質がある証拠なんだそうだ。
結局1時間近く見学してしまい鹿角を離れたのは昼過ぎだった。
お世話になりました。
青森まで行くには遅い時間だったが、ねぶたに行きたくてウズウズしていた。
弘前で相馬アイスクリーム店に寄り、その後は青森市まで国道を走り向かう。
夕方17時、青森に向かって走っていると、ねぶたを目指すライダーにビュンビュンと追い越されていく。
遂に俺も青森ねぶたにやってきたんだ。
興奮が疲れを麻痺させペダルを回し続けた。
20時過ぎにキャンプサイトに到着。
学校の校庭を利用した場所で敷地が広い。
ねぶたが開催されている時間のため旅人たちはみな出払って静かだった。
テントの数もそこまで多くなく、これから祭り最終日に向けて増え続けるんだろう。
俺は疲労のせいかテントを張って寝ることにした。
自転車を押してテントを張る場所を探していると、五十嵐くんのチャリを発見した。
横づけしてテントを張り、皆が帰ってくる前に寝てしまった。
22時頃にぞろぞろとキャンプサイトへ人が戻ってきた。
キャンプサイトの各場所でどんちゃん騒ぎが始まり深夜まで続いた。
五十嵐くんもその人波の中帰ってきて、俺はとりあえず挨拶だけをして先に寝ることにした。
夜中の3時ぐらいまで騒いでいたみたいだったが、本当にここは凄い。
聞こえてくる会話だけでも祭りのエネルギーが伝わってきた。
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