日が昇る前から激しい雨が降り始めた。
吹き荒れる風によってテントに水滴がぶつかり、けたたましい音が反響した。
今日はこのまま雨が降り続くのかなと考えつつまた眠りの中に入っていった。
2度目に目覚めた時は6時を回っていた。
相変わらず雨の勢いはおさまることがなくテントの中でじっとするほかなかった。
このまま道の駅にもう1泊するのか・・・
嫌な考えが頭をよぎり茫然とした。
天気予報を確認すると山形県は曇になっている。
村上市は県境のため2時間も走れば雨が降らない地域に行けるかもしれない。
希望的観測だけを頼りにテントをたたみ、雨の降りしきるなか漕ぎだした。
雨に濡れる稲の色もまた違う顔を見せて綺麗だった。
どんよりした雲の下にある海もまた綺麗だった。
山形との県境にある笹川流れと言われる海岸線を走る。
日本百景にも選定された県下有数の海岸景勝地であり美しい海で知られている。
新潟県側の県境にあるスーパーに休憩がてら立ち寄った。
レジに並んでいると自分の前と後ろ、そして他のレジに並んでいる人のカゴには オロナミンCのケースが入っていた。
特売日だとしてもそんなに飲むかね。
飛ぶようにオロナミンCは売れていった。
山形県に入ると見事に雨が止み、雲のトーンも明るい色に変化した。
道の駅に野宿しようと立ち寄ると、至る所にテント設営禁止の看板が建てられていた。
もちろん道の駅は宿泊所ではないので当たり前のことだが、そこまで言い切られるとその場を後にするしかなかった。
看板を出すほど旅人を煙たがる道の駅は初めてだった。
近くにあるキャンプ場に移動して寝ることにした。
料金が600円で安い。
このぐらいの料金設定であれば毎日キャンプ場でも良さそうだ。
静かな松林にあり、人の目を気にせずにいつでもテントを張ることができる。
道の駅に泊まる必要は全くなかった。
すぐにテントを張って、日が落ちる少しの時間、読書をしたりギターを弾いたり散歩をしたり、静かな一人キャンプを楽しんだ。
日が落ちると木々の間に吊るされた裸電球に明かりが灯り、家族連れの人たちが炭で焼けた芳ばしい香りを漂わせながら夕食の団欒をしていた。
腹が減る・・・
BBQしたい・・・
溢れてくるつばを飲み込み、いつのまにかギターを抱えながら眠りについていた。
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