新潟県にすっぽりと雨雲が覆いかぶさり、時間別の天気予報ではずらっと傘のマークが横に並んでいた。


走りたくはないが前に進まなければならない。

今日の宿の予約が満室であったことがもう1泊する甘い考えを払拭してくれた。

昨日自転車を整備したおかげで走りやすかった。

タイヤもパンパンに空気を入れたからスピードがぐんぐんと加速する。

10日に1回は空気を入れなければだめだな。

軽やかな自転車の乗り心地により3時間漕ぐだけで55㎞進むことができた。

村上市に入った場所に広々とした道の駅があった。

周辺はずっと田んぼが続いている。

芝生の面積も広く、風景に溶け込んでいる。

離れた場所に東屋が建っていて、今日はそこで野宿することにした。

この先、濡れずに寝れる場所があるとは限らない。

13時過ぎからじっとベンチに座りボーっと過ごした。

道の駅の売店でドーナツ、草団子、赤飯2パックを買って東屋に戻る。

ベンチに座り読書をしていると、田園から吹いてくる風が体を冷やしぶるぶると震えてしまった。

もう8月が近いというのに体感温度は4月ぐらいだった。

寒い地方に行く機会がなかったので、たまに急激に気温が下がるのは東北ならではなのだろうか。

久しぶりにカーディガンを羽織り、その上にジャケットを着て、寒さに耐えながら小説の世界に入り込んでいく。

時折、ザーザーと降る雨によって現実の世界に戻ってくるが、また静けさがやってくるとふっと違う世界に入っていく。

夕飯は塩っ気のない赤飯を空腹感を無くすために口に運んだ。

機械的に運んでいたが新潟で生産されたもち米から作られている。

美味しさのあまり箸が止まらず、2パックをぺろりとたいらげてしまった。

早々に温かいテントの中に入ってまた読書に耽った。

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