今日もあまり寝れない状態で朝を迎えた。


蒸し暑さのせいもあるが真夜中の来訪者への緊張も眠りを妨げる。

横になっている時からうすうすわかってはいたけど、体に異変を感じた。

腹が痛く、少し吐き気もする。

これはやばい状況になるかもしれない。

公園を出発し、朝食のパンを購入するためコンビニによる。

だけどパンがなかな喉を通らない。

吐き気がどんどんと増すだけだった。

走り出したはいいけど1時間もしないうちに休憩をとる。

喉の渇きを癒すだけではなく、何かをごまかすために水をがぶがぶと飲んでいた。

角島の対岸に着いた時には体調がかなり悪化し始め、透き通った綺麗な海を眺めることもできなくベンチに座り、手すりに腕をもたれ、地面を凝視しながら早い呼吸を繰り返すだけだった。

自転車で海を渡り角島に行くことを断念し、橋の途中まで歩くことにした。

浜に打ち上げられたゴミの量が気になったけど、こんな綺麗な海で浮き輪でプカプカと漂いたかった。

角島を離れ、ものの10kmも走らずにコンビニで休憩をとった。

コーラを一気に飲む。

また走り出し今度は20km走ってスーパーに逃げ込む。

氷菓子とウィーダーインゼリーを買い昼飯とする。

走る時間よりも休憩時間の方が長くなりつつあり、体力のタンクが空に近いと分かった。

昨日から出始めた体の症状があった。

走っている最中に心臓を締め付ける痛さを感じることだ。

持病とまではいかないけど、心臓を圧迫した姿勢で長時間いたり過度な運動を長時間するとなってしまうのだ。

上体を起こしたり胸を広げたりして、姿勢を変えて痛みを和らげるようにした。

スーパーから10㎞ほど行ったところで体力と気力に限界を感じ、バス停のベンチで横になった。

田園にポツンとあるバス停だ。

山間をぬける強風が体に当たり火照った体を冷ましてくれる。

2時間は横になっていた。

だいぶ回復して起き上がったんだけど、気だるい状況は一向に変わらず、自分に熱があることがわかった。

どおりでボーっとしてしまうわけだ。

強風の向かい風の中、自転車を漕ぎ始め峠を越える。

峠を越えた先のバス停でも休憩をし、おじさんから飲み物とアイスを頂いた。

自分がどんなに辛い状況にたたされても、人の支えがあるから先に進めるんだな。

体調が悪くてもそんな素振りは見せずに、笑顔でおじさんとの会話を楽しんだ。

最後の休憩所から今日のゴールの萩市は目と鼻の先で、最後の気力を振り絞り萩のユースを目指した。

野宿なんてまず無理だ。

ユースに着いて、倒れこむようにベッドに横になった。

だけどやることは結構ある。

洗濯をしてシャワーを浴びて、夕食の買い出しとともに萩の街を散策する。

萩は城跡や武家屋敷、町家などの江戸時代のまちなみ、歴史的景観を数多く残している。

歩いてみたい街並みでは全国1位だ。

萩市だけではないけど、山陰側の市町村は町の発展が弱い。

山陽側と比べるのはおかしいけど、インフラの整備が遅れたのが原因なのだろう。

萩市も人口が減少傾向にあり30年間で2万人減り、53,760人しかいない。

萩の城下町を走っていると、武家屋敷風の塀に囲まれた高校が現れる。

部活終わりの高校生たちが部室前にたむろして大声でしゃべっていた。

部活終わりのこの雰囲気は好きだった。

暗くなると町はライトアップなどの派手な演出はせずに、軒先のほんのりとしたランプだけがつけられて、月明かりの下に土塀が浮き上がっていた。

ユースに戻り、夕飯を食べてベッドに横になった。

体調も回復して明日への希望が見え始めた。

同室のイギリス人が眠たそうにしているので照明を消し、22時前に安らかな眠りについた。


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