朝早くニッチーさんと別れ自転車を漕ぎだした。
博多駅は通勤するサラリーマンやOLでひしめき合っていた。
これから始まる一週間に対して心構えをしているかのようにこわばった顔をみな浮かべていた。
麦わら帽子をかぶり大きい荷物を持った旅人がそこに紛れる。
同じ空間にいるんだけど別の世界にいるような感覚になり、流れている時間の速度の違いを感じた。
大宰府方面に自転車を進め今日もまたマックへと入る。
落ち着ける書斎として利用して早2か月が経ち、これからも頻繁に利用していくことだろう。
福岡から大宰府までは15kmある。
大宰府天満宮とは全国にある〇〇天満宮の総本山。
平日だというのに多くの観光客が訪れていた。
そこまで境内が大きくはないので30分もすれば皆、鳥居をくぐり引き返していく。
参拝後は、自転車屋に向かうことにした。
ついに自転車が壊れたのだ。
自転車を漕ぐと、カチカチと異音が鳴りだす。
自転車の可動部分に問題があることは確かだけど、箇所の特定が出来なかった。
ロードバイクを取り扱っている自転車屋に行き、見てもらった。
自分でも大体どの辺からカチカチ鳴っているのかが分かるため、説明しながら見てもらう。
「荷物の載せすぎだよ」
??
そんな見解は誰も求めていないんです。
打開策のアドバイスを聞いているのに正論を言われてしまう。
確かに箇所を特定させるにはすこぶる時間を要してしまう。
結局、フロントかリアのハブの部分(車輪の中心部分)が摩耗しているか、グリス切れをしているのだろうと判断した。
だけど自転車を分解して結論を導き出し、そこからメンテナンスとなると時間と費用がかかってしまう。
自転車屋もあまり乗り気じゃないみたいだし、このまま壊れるまでとことん乗り続けることにした。
腹をくくり、大野城市方面に進んで待ち合わせ場所へと急いだ。
駅の正面にあるマンション駐車場でじっと約束の時間まで待っていた。
約束の時間の5時半に狙いを定めてきたのか、雷鳴とともに通り雨が降り始め、高校生たちがびしょ濡れになりながらも友達同士で会話を楽しんでいた。
時間通りに知人のあゆさんと出会った。
雨が小降りになるまでは二人で雨宿りをして、お宅にお邪魔した。
あゆさんは美容師。
ボサボサで紫外線を浴び続けている髪の毛を切ってもらった。
華麗な手さばきでみるみるうちに紫外線を浴びた髪の毛たちは撤去され、爽やな青年の出来上がりだ。
ヘルメットを脱いだかのように頭皮まで風が送られ、なんとも気持ち良い。
ご飯を食べに居酒屋に行き、おしゃべりを沢山した。
あゆさんの将来の夢は自分で店を開くこと。
そのために週に1回しかない休日を返上して研修に行っている。
おそらくそう遠くない将来に独り立ちは可能だね。
美容業界での自分のポジションを認識し、強みや弱みを常に意識する。
そこに出店に際してどういったチャンスがあり、どういった障害があるのかアンテナを張り続けなければならない。
ぜひ夢を叶えて欲しい。
今日はあゆさんの知人の方が寝床を提供してくれた。
知り合いの知り合いという連鎖。
本当に感謝します。
夜遅くに線路に面した道をあゆさんの原付とともに走る。
隣り町まで移動して、カフェの前に到着。
寝床を提供してくれた方、たぞのさんはカフェのオーナーで、22時まで店を開いていた。
こじんまりしたかわいいカフェだった。
カフェからは車で自宅に移動することになるため、あゆさんとはここでお別れ。
人のためにここまで動いてくれる友達はそういない。
ありがとう。
原付に乗って夜のとばりに消えていくあゆさんを見てそう思った。
たぞのさんが飼っている愛犬のジョンと共に車に乗り自宅へと移動した。
たぞのさんは俺と家族構成が一緒で同じ末っ子だった。
自宅に上がらせてもらい、TVを見てくつろぎながら色々と話をする。
会社を辞めてカフェのオーナーになった人だ。
口から出る言葉のすべてが自分のいしずえになる。
たぞのさんは俺と同じぐらいの歳に独立を決意してカフェを立ち上げている。
カフェをオープンさせるというのは簡単で誰でもできること。
だけどそれを何年も継続していくことはとても大変なことだ。
日本の中小企業も登記して3年以上もつ会社は3割に満たない。
スポイルアンドビルドを繰り返す世界なのだ。
面白い話を聞きながらも睡魔に襲われ、目を開けることが不可能になってきた。
ジョンがイビキをかく中、どうしてもどかないジョンと一緒に寝た。
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