目覚めると、テントを揺らすほどの強風が吹き荒れていた。


西から吹く風は進行方向の向かい風だった。

どうやら最悪な一日になるのは間違いなさそうだ。

島原半島を長崎方面に進んでいく。

強風のせいか海は茶色く濁っていて、岸に打ち寄せる波も高かった。

護岸のテトラポットが小さいため、ぶつかる波の飛沫が風に乗って道路を濡らしていた。

昼を過ぎると霧雨が降り始め、強風で舞った雨が水平にぶつかってくる。

とんでもない一日だ。

小浜温泉を抜けると道は次第にアップダウンし始める。

坂を登り、強風にあおられ、雨に打たれ、自然を相手にすることに疲れきった。

最後の坂を上り切り、トンネルを抜けるとそこは長崎の街だった。

とんでもないところに街を作ったものだ。

都市としての機能を持つ場所で、こんな坂だらけの街が日本に他にあるのだろうか。

緩やかな坂を下り続けると路面電車のレールが道路に敷かれ始める。

旧市街といった少し懐かしめの雰囲気のある街並が姿を現す。

めがね橋の近くにあるゲストハウスに荷物を置き、シャワーを浴びる。

すぐに出かける気になれず、1時間ぐらいベッドに横になってしまった。

その後は長崎の街を自転車でぶらっと流す。

昔、貿易の拠点だったこともあって、異国情緒を少し感じる。

西洋風だったりチャイナタウンだったり。

出島やグラバー園など有名な観光スポットに足を運んだんだけど、拝観料が高くて入る気になれなかった。

19時近くまでぶらぶらと街を流し続けた。

京都でもない、横浜でもない、長崎独特の町の景観が新鮮だった。


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