今日から4日間はやることがない。 5日後に阿蘇に住む友人を訪ねるために、どうにかして予定を埋めなければならなかった。


どこかに長期滞在することも念頭にはあったけど、ずるずると判断を先延ばしにしていたのだ。 沖縄に足を運んでもよかったかなと、今更後悔した。

八代から阿蘇まで頑張れば1日で行ける距離。 どうやって行くか。

頭に浮かぶ選択肢は熊本市に4日間滞在するか、高千穂を経由して小刻みに進んでいくかだった。

熊本市内にグータラ4日間も居続けるのは抵抗があった。 やっぱり自分はずっと動いていたい。 山の中を小刻みに進むことにし、九州の真ん中をぐるぐる周るルートに決めた。

久しぶりに海から遠のき深い山の中を通ると、今まで感じていたじっとりとした蒸し暑さも和らぐ。

たまに吹き抜けるひんやりとした風が気持ち良かった。

Peter Toshのうねるようなグルーブに体を揺らせ、静かな里をゆっくりと走った。

山間の道には平行して川が流れており、その上をいくつもの石橋が渡されていた。

中でも国の重要指定文化財に指定された通潤橋は見事な橋だった。

橋は水路橋になっていて歩いて渡ることも出来る。 橋の真ん中から勢いよく吹き出す水を見るために多くの観光客が訪れていた。

昔、谷に作られた棚田に効率よく水を運ぶために橋が造られ、農閑期に水路の内部にある泥や砂を除くために放水をしていたそうだ。

残念ながら観光目的による放水の乱発で、橋を痛めてしまい、現在は1日1回に制限されている。

そんなこともあり橋の下ではいまかいまかと待ち望んでいる人もいて、長期戦を覚悟していた。

じれったいことが苦手な俺は、諦めて先へ進んだ。

八代から50kmに満たない場所に小さな里があった。

スーパーと農協の建物が目立つほどひっそりとした場所だ。

スーパーに立ち寄り、午後2時過ぎから読書に耽っていた。 宮崎で本を買い込んで良かったと思ったのは今日が初めてだ。

だだっぴろい駐車場は閑散としている。ベンチが壁にそっていくつも置いてあったが、座る人もいない。

ここから5時間ぶっ続けで読書をした。 スーパーのベンチから道の駅のベンチに移動してそこでも読んだ。

この静かな里は本当に心を落ち着かせる。

夜が訪れようとした時、川岸からこちらへゆらりゆらり発光体が近づいてくる。 ほのかに輝くその光は点滅を繰り返して円を描くように空中を舞っていた。

自分はその光に導かれ、てくてくと川のせせらぎが聞こえる方角に向かった。

小川の岸にしゃがみこんでボーっと闇夜を覗き込んでいると、自分がフクロウなのではと錯覚してくる。

今日は森の番人として静かに監視していよう。


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