2か月経たない間に体重が3.5kg減量していた。


夏本番を迎える前にこのざまでは大丈夫なのだろうか。 ちょっとした不安はついてまわるものだが、それよりも重大な不安がのしかかってきた。

携帯電話の充電ができなくなったのだ。

充電器か本体どちらが故障したか定かではないけど、携帯電話が使えなくなることは間違いないだろう。

実際にもう電池残量がなく電源が切れている。

朝、長島からフェリーで天草に入った。

フェリーで通学している高校生が何人かいて、みんなピシッと制服を着こなして髪が乱れている生徒は一人もいなかった。 校則が厳しい学校なのかな。

まだ店のシャッターが下りたままの時間に天草に到着し、自転車通学する高校生や中学生と一緒に自転車を漕ぎ始めた。

港町を通り過ぎるとすぐに上り坂が始まった。

島はなんでこんなにも坂が多いのだろう。 自分が走っているのを水平に見たら、心電図の波の上を左から右に走り抜けているのとまったく同じだ。

坂を下ると大きな入り江に出て、ぐるっと入り江の外周に沿って堤防の脇を進んだ。

そんな入り江にある小さな漁村に、全く建築様式の異なった建物が尖った頭をのぞかせていた。 崎津天主堂である。

民家の立ち並ぶ細い路地に入口があり、不思議と風景に溶け込んでいることが村の歩んできた歴史を感じさせた。

崎津の多くの人々は、隠れキリシタンの時代から信仰を守り続け、漁船には十字架とマリア像が飾られている。

港の出入り口にある岬には、灯台の代わりにマリア像が建てられており漁に出る度に像に向かって十字を切り平安を祈っているようだ。

灯台なんてなくても常に心には灯りがともっているのかもしれないね。

天主堂内には珍しく畳がひかれていて、土着の教会らしさが伝わってきた。

波もたたない穏やかな海に、負けず劣らず穏やかな人々の暮らしが営まれていた。

崎津天主堂から5kmぐらいの距離に、青空に浮かぶ真っ白な雲のように白亜の建物が小高い丘の上にたたずんでいた。 大江天主堂である。

こちらは先ほどのゴシック様式の天主堂とはまた違った建築様式で、ロマネスク様式になっている。 ロマネスクの方が時代は古いようだ。

やっぱり古い建物は美しいね。 そこにどんな背景があろうとも風化の味わいはとても美しい。

無音の堂内のベンチに座り、天井やステンドグラスに見入っていた。

天主堂を巡った後は、大江天主堂から歩いて5分ぐらいの場所に存在するちゃんぽん屋の暖簾をくぐった。

おばさん一人で切り盛りをしているようで、店に入った時には楽しそうに電話口で笑い声を漏らしていた。

お店のメニューはちゃんぽん、皿うどん、チャーハンのみ。 こういう店の方が絶対うまいんだな。

電話が終わるのを待ち、ちゃんぽんを頼んだ。

ものの10分も経たないうちに、ちゃんぽんが運ばれてきて、待ち望んだ味を堪能することにした。

まず見た目がすごく、具だくさんでなかなか麺が顔を出さない。

自家製の鶏がらスープもいい感じにダシが出ている。 美味しかった。

灼熱の太陽のもと、ぐにゃぐにゃに溶けだしそうなアスファルトの上を走り始めた。

今日は34℃ぐらいまで気温が上昇したみたいだ。 山あり谷あり、天草の西海岸を天草灘を望みながら走った。

時折吹く潮風と透き通るようなコバルトブルーの海が、暑さを忘れさせてくれ、気持ちが和らいだ。

道沿いに点々とある自動販売機は何度となく手招きをしてくる。

のどから手が出るほどコーラが飲みたかった。

まるで漫画に出てくる天使と悪魔の戦いのように、心の葛藤をし続けていた。

天使のささやきは説得力にかける。

「まぁここは一つスーパーまで我慢しましょうよ」
「あんなもの体の毒ですよ」
「飲んでもすぐに汗になっちゃいますぜ旦那」

など全然、首を縦に振る気になれない。

悪魔のささやきに耳を貸すと、

「至福の一時を提供できますよ旦那」
「くーって今言ってみたいでしょ?」
「さぁポケットからそのコインを出してボタンを押してごらんなさい」

目先の欲にかられてコーラに手を出し、日陰で涼みながらのどを鳴らした。 ひやっこい飲み物最高。

天草の西海岸をぐるっとまわり、市街地である本渡に到着した。

さっそくドコモショップに行き、携帯電話を見てもらう。 結論から言うと故障している。

充電する部分の劣化が激しく、無理な充電によるショートを起こしている疑いがあった。

外部電源を失敬していたのがいけなかったのか、もしくは湿気による故障も考えられた。

窓口の方に相談し、今後の方針を検討した。

  • 故障修理の場合 修理費 5,000円 
  • 機種変更の場合 変更費 最低10,000円 

決めあぐねていた俺は結論を明日に先延ばし、ドコモ純正の充電器と補助充電器をポイントで購入した。

問題は宿の所在地の確認のしようがなかったことだ。 マックのそばまでは覚えていたのだが、ぐるっと付近を回っても見つけることが出来ない。

結局マックでPCを取り出して調べることした。

それから無事に宿に到着し、シャワーを浴びることが出来た。


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