1日中風の強い日だった。 朝食を頂いた後は、何をするでもなくぼんやりと席に座ったまま、窓から風に煽られる木々の葉っぱを見ていた。


こういう日というのは一歩も動きたくない。 友人の実家に泊めさせて頂き、ゆっくりとしたひと時を過ごした。

お礼の代わりに長淵剛の「乾杯」を弾き語りした。 ありがた迷惑な話だ。

屋久島行きのフェリーを調べると、運がよく、出向する港が目と鼻の先で、10kmも漕がずにつく距離だった。

重い腰を上げ、雨の切れ間に出発した。 お世話になりました。

フェリーは夜行船で13時間ぐらい乗船することになる。

鹿児島を18:00に出航し、屋久島には明朝の7:00に到着する。

屋久島に行くには一番安い船で、自転車代を入れると4,100円。 他の船は6,500円かかる。

雨が強くなる前に乗り場へと向かい、待合所で4時間も時間を潰すことになった。

雨に打たれるよりはじっと殻に閉じこもるほうがいい。

待合所でTVを見ていると、お遍路特集をしている。

つい最近7回目のお遍路をこなしたという芸能人が解説をしていた。 多分、俺がお遍路をしていた時期の1週間後に行っている様子で、地元の人に聞いた話を発言をしていた。

「最近では自転車に乗ってお遍路をする若者も多いみたいですよ」

俺のことを言ってるのかなと思い嬉しかった。

出航の1時間前だろうか。 見覚えのある馬鹿でかいチャリに乗った二人組が、雨上がりの発着所に姿を現した。

群馬県出身の二人組だ。

「ひょっとしたらこの船なんじゃないかと思ったんだよな」

とお互いに再会という偶然の出来事に興奮をしていた。

でも前もってある程度は予想していた。 屋久島に行く日が1日早まったことは相手に伝わっていたし、二人が鹿児島にまだいることを前日確認していた。

フェリーに乗船した後は、いくつかある客室の1つに入り、買っておいた焼酎を三人で飲んだ。

飲みの肴はもちろん旅の道中の話だ。 同じ境遇だから共感できることも多く、盛り上がる。

次第に旅の途中にどんな変な人に出会ったかという話や、旅でついやってしまうあるある話をくりひろげた。

熱が入りすぎたのか21:00前には意気消沈して、3人ともバタンと地べたに寝ころび、船の演出するゆりかごの中眠りについた。


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