雨が降らないうちに峠を越えたかったので、4時半に起き、6時に出発した。


早朝に自転車に乗るのは気持ちがいい。

朝の空気感もそうだけど、車の量が少ないから気にせずに道の真ん中を走行できる。 路側帯はできれば走りたくないのだ。

海岸線を走っていくと臼杵市に出る。 臼杵市で有名なのは石仏で、国宝に指定されている。

仏像好きの俺には目のない場所だ。 石仏郡が存在する場所は、道路から脇道に逸れたのどかな里にあって、仏様がその里を見守るように石仏が何十体も鎮座している。

発見当初は全て泥の中に埋まっていたらしく、よく掘り出して復元したと思う。

石仏たちは丁寧に地域住民に保護をされていて、隅々までお堂は整備されていた。

石仏もよかっったけど、お堂から望む里の風景がなんとも心を癒し、失礼ながら仏に背を向けて里を見つめていた。

さて、ここからが問題のルート選択になる。

結局、ワインディング長距離ルートを進むことにし、臼杵市から延岡市まで90km近い距離を走ることにした。

道程の中、深い山中を走るのはおよそ50㎞あり、 「宗太郎越え」 という峠を越えることになる。

途中休憩を挿みながらも、雨が降っていない時間を利用して山中を進んだ。

トンネルの工事中で片側交通規制をしている場所では、わざわざ警備員のおじさんにトンネルを抜けるまで一緒に歩いて頂き、旅の話を反響する車の騒音のなか話した。

おじさんも昔、日本一周の旅に出たことがあるのだそうだ。

だけど金欠としんどさで、だんだん旅をするのが馬鹿らしくなり、九州を一周して辞めてしまったらしい。

その気持ちはわかる。 自転車で旅をするのは本当にしんどい。

坂を登っているときはしんどすぎて泣きたくなる。 そこに天候の脅威もあわさる。

けどあきらめない。 苦しさの峠を越えたその先に、何が待っているかわからないからだ。

それを経験せずにあきらめるのはありえない。

おじさんと少しの時間話して、トンネルを抜けると緩やかな下り坂が始まった。

ん? ずっと下っていく。

ひょっとしたら峠を越えちゃっている。

気づかない間に峠を越えていたようで、辛さを感じないまま気持ちの良い下り坂を走り抜けていた。

今思えば楽しいサイクリングコースだったと思う。 交通量も少なく深緑の山はとても気分を癒しくれた。

峠を越えてしばらくすると雨がポツリポツリと降り初め、雨足は次第に大粒の雨へと変化した。

地面に落ちた雨水は、一瞬飛び跳ねた後、滝のように斜面を滑り落ちていく。

顔にあたる雨粒が視界をさえぎり、目を開けていられない。

たまらずに道の駅へと避難し、腹ごしらえにカレーを胃に流し込んだ。

予想していた時間より早く降り始めてしまったけど、目標の延岡まで16kmの距離まで詰め寄ることができたので、道の駅でホッとしながら一時を過ごした。

外はまだ轟音が鳴り響いている。


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