下関近くのホテルに泊まり、溜まっていた疲労を洗い流した。


英気を養うためにも、寝れるだけ寝たのだ。

ついに九州に上陸するんだな。まさか自転車でここまで来るとは出発前は想定していただろうか。いやできるはずもない。

九州へと渡るには、歩行者専用の地下道を通って渡る。

関門海峡には橋が架かっているけど通れない。 エレベーターに乗って、地下60mまで下がり海底トンネルを進むのである。

およそ1kmの距離を歩く。 地元の人のウォーキングコースになっているのかスポーツウェア姿の人が目立った。

なにもこんな海の底で運動しなくてもいいのにと思ったけど、運動に集中できるのかな。

トンネルの中間地点には、県境のマークが印字されていた。 思わずジャンプしてまたいでしまうものだね。

九州側の玄関は、門司港。 風景がとても綺麗だ。

しっかりと美観が市民の手によって整えられているのが伝わってくる。

明治22年に開港した門司港は、当時としては重要な物資を扱う国の特別輸出港として指定され、 大正に入ると出入港船舶数が、横浜港、神戸港を抜いて日本一になるほど国際的な港として栄えていたのである。

門司港のそういった大正時代の面影は、大正ロマンとして駅舎や商社の建物に残されている。

駅舎前に立ち寄ると、幼稚園生が駅舎の写生をしていて、既に書き終えた子供たちは走り回ったり、じゃれあったりしていて、先生が絵描き道具の片づけをしていた。

給食の時間が終わってもゆっくり食べている子ってクラスにいたと思うけど、ここでも絵が書き終わらないで地べたに座って黙々とクレヨンをキャンパスに向かって動かしている子がいた。

じれったいのか先生がクレヨンを手に取り手伝っていた。

俺も子供の頃、のんびりマイペースに絵を書いていたなとふと思い出した。

まだ九州をどう進むべきか、ルートが決まっていなかったため、門司港に少し滞在しながら思案した。

旅とは学校に行くようなものかもしれないな。

俺はその土地のことを全く知らない。 だからそれを色々な風景、出会う人々が教えてくれて、自分の考え方が成長していく。

学友に出会えば、胸躍るように話に夢中になる。

今、俺は学校に行ってるんだね。

朝起きればすべてが学校で、行く先々で先生が待ち構えていて、延々と面白い授業をしてくれる。

東京に帰るときには優秀な生徒として卒業できるかな。


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