3日振りに先へ進む。 下関を目指すには主要道路は国道2号線を走ることになる。


トラックの交通量がとても多く、走る距離に反比例して神経が擦り減っていく。

自転車に乗る人間が一番注意することは転倒だからだ。

1時間走るだけでぐったりきてしまい、岩国市に着いたころはこめかみが少し痛くなっていた。

錦帯橋の前で休憩を取り、国道2号線を進むことを避け海岸線を通る迂回路を進むことにした。

距離はかかっても自動車を気にしないで走れれば景色を楽しむ余裕が生まれる。

昼食をとる間、食べながら意識が飛んでしまい、ついうとうとしてしまった。

疲れてるなんてありえないと思うけど、そこまで神経を集中して走っていたのかな。

海岸線を通ると、意外にも下関は遠く、思った以上に進んでいない。 どこだか知らない街の浜辺で夕焼けを見ながら今日は寝ることにした。

波もほとんど立っていない静かな浜辺。 一箇所だけ錆びついた鉄塔が建っている。

夕焼けが色づく浜辺の中、犬と散歩している人たちが日課をこなしている。

無数の足跡が交錯しながらどこまでも続いていた。

人気がなくなくると、静かに太陽は照明を落としていき、静かな夜がやってきた。

聞こえてくるのは微かに浜に打ち寄せる波の音。 月明かりが水面を揺らしている。

何でもない日だったけど、テントに入るや意識が飛んでいた。

疲れているのだろうか。

真夜中の2時、雨が降り始めたことをテントに落ちてくる雨粒の音で気づいた。

眠いなかテントから這い出し、自転車を近くにあったアパートの駐輪場に避難させた。

暗闇の海に灯台の明かりと遠くにあった工場の点検灯の明かりがぽつんと灯っていて、少しの時間だけじっと明かりの方向を見つめていた。


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