野宿をした宍喰という場所は、サーフィンの世界大会が開催された場所で、サーファーが朝から忙しなく波に乗る準備をしていた。


早朝から室戸岬を目指し自転車を漕ぎだした俺は、今日最初の発見をした。

歩いているお遍路さんに何人も遭遇したことだ。

室戸岬にある寺と、その前の寺との距離は80km近くにも及び、大体、2~3日をかけて遍路道を歩む。

6時過ぎからせっせと遥か遠くにある室戸岬を目指し歩いている姿は、同じ旅人からみても感動的だ。

すれ違いざまにあいさつがしたくなる。 「おはようございまーす」とこっちからあいさつをすれば、お遍路さんたちも自然とあいさつしてくれる。

朝からあいさつをするとすごく気分がいいし、きっとお遍路さんも気分がよくなり「よっし今日も頑張るぞ」と思うに違いない。

あいさつせずにはいられなくなる。笑顔の共有だね。

高知県に入る境辺りから海岸をひたすら走る道が続く。

出口君から聞いた話を思い出す。 弘法大師はこの道を歩いているとき、ずーっと空と海しか目に入らなかったことから、「空海」という名をつけた。

現在は道路も整備され、意識が他にいくような物が点在するけど、昔は本当に岸にうちよせる波の音しか聞こえないような世界だったのかな。

宍喰から42km程で室戸岬に到着した。 所要時間も1時間40分で、爽快な走りだったと改めて思った。

お寺は大体、山の上に建てられるけど、登山並みの参道だとしんどいね。

鬱蒼とした山道を海沿いから登り始めると、山の低い位置には観葉植物で売られているクワズイモが群生していた。 山の頂上からの景色は最高だった。真っ青な海が広がり、水平線が丸く見えた。

岬の北側はあんなにも波が激しく荒々しい海だったのに、南側はさざ波が点々と立つぐらい静かな海で風が演出する自然のすごさを実感した。

次の寺への道の途中、出会った歩きのお遍路さんと1㎞程一緒に歩かせてもらった。

夫婦で周られている方だ。

今回が3回目のお遍路で、1回目はバス観光で、2回目はガイド付きの車で、3回目は分割して歩きで巡っている。

回を重ねるごとにお遍路が好きになってきて、辞められなくなったとのこと。

3回行ってどれが印象的か伺うと、もちろん歩いて回るときは達成感が違うと嬉しそうに話していた。

お遍路に訪れる人は年間で15万人にも及び、歩いてお遍路する人は5000人らしい。 いろいろとお遍路にまつわる話も聞けて充実した出会いになった。

最後に訪れた寺の参道でもいい出会いに巡り会えた。 歩きでお遍路をしている若者と出会えたことだ。 2人で歩いている方で、徳島県の1番礼所で偶然出会い、それ以降行動を共にしている。

1人は会社を辞めてお遍路に挑戦中、もう1人は休学して挑戦している。 2人とも自分の根性を確かめたくて決意したそうだ。

真っ黒に日焼けした姿と、溌剌とした表情は素敵だった。 自信が少しづつ芽生えてきているのかな。

固い握手を交わして登り始めた彼らの後ろ姿は、かっこよかった。

ここまでお遍路と関わる日は今後ないかも知れないな。


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