いよいよ旅立ちの時が来た。東日本大震災から1カ月後、会社に辞表を提出し、自分の新たな人生を歩もうとしている。



学生だった頃が懐かしい。毎日バンド活動に明け暮れて、寝る間も惜しんでロックスターになることを夢見ていた。

自分の人生に情熱を注いでいたあの頃は生きていたのだ。 でも俺は自分に甘えていた。

音楽で飯を食っていくことと企業に勤めてレールに敷かれた道を歩むかを天秤にかけていた。

結局、中途半端な決意はロックスターという夢を見失い、空虚なサラリーマン人生を始めたのだ。

初めての挫折。 虚しかった。 生きる目的を失った生活は単調なループでしかなかった。

情熱を傾けることが出来る物事を心の中で欲していた。

そんな心の葛藤が忙しなく働く日々の中でどうしても拭い去れなかった。

自分を変えるしかない。 環境を変えるしかない。 自分をぶっ壊すしかない。

そんな心の決意が、無謀な挑戦への始まりだった。

「俺、会社辞めて日本一周してくる!!!」 友人達に自分の決意を話した時、体を駆け巡るような興奮が燃え上がった。

自分の人生がまた音を発てて描かれ始めたと実感する。

ここ数年というもの俺は無気力、無感動、無関心の体たらくぶりを存分に発揮し、生きる屍とかしていた。

自分の可能性なんか全く信じてやることなんて出来なかったし、自分を好きになってやることもままならなかった。

そして思ったんだ。

自分頑張れ!自分を楽しめ! わかんないけど、俺はもっと良い人間になるよ!


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